ALI PROJECT

(日本)

「Romance」(06年作)

1.ロマンス[ Instrumental ]  2.ビアンカ  3.ダリの宝石箱  4.La caleche〜春の雪

5.嵐ヶ丘  6.楽園喪失  7.遊月恋歌  8.L' oiseau bleu(シューベルトのカヴァー)

9.さいごの戀  10.今宵、碧い森深く

男女2人組ユニットの4thストリングスアルバム。

BOOK-OFF某店にて、中古250円で販売されていたので購入してみた。

ALI PROJECTとは、ボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン

モハメド・アリ(Muhammad Ali)ソロプロジェクトである

上記の今作のジャケットの女性は、

若かりし頃のアリが若気の至り女装に走った所、

友人がその姿をカメラに収めようとしたので

手で顔を隠そうとしたものの、間に合わなかった際のモノを

現代の技術で加工したモノである

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・・・・・・・・・・・・というのは全部ウソです。本気で受け取めないように。

ALI PROJECTとは、作詞Vo.を務める宝野アリカと

作曲編曲を務める片倉三起也によるユニットである。

大抵のリスナーは2000年代に入ってから彼等の事を知ったと思うが、

その活動歴は長く、85年に活動を開始したベテランである。元々は

「蟻プロジェクト」という名義であったが、92年にメジャーデビュー

果たす際にALI PROJECTへと改名されている。

今作は彼等の既存曲やカヴァー曲をストリングスピアノリアレンジした

作品で、生の弦楽オーケストラクラシカルなピアノをバックに

女性Vo.が歌い上げるといったモノである。

比較的初期の楽曲が多いが、新曲も収録されている。

曲名の様なロマンスという感じがあまりしない1曲目。

2曲目はお転婆なお姫様が衛兵の目を盗んで退屈な城内を

抜け出し、街へと出掛けようとする様なコミカルさを感じさせる

始まりから、まだ見た事の無い多くの物に興味を惹かれて

心躍り、楽しむ街中での様子を思わせるパートへと展開する。

3曲目はその続編みたいな感じだ。

始まりのストリングスの悲しい調べ胸を打たれる4曲目は

感情を押し殺す様な密やか坦々とした流れから、

ずっとこらえてきた感情を、1人になってようやくさらけ出せた様な

ひしひし泣きを放つ悲しい盛り上がりを展開する。

社交ダンスで使えそうなバッキングの5曲目は優雅さの中に

激しい情熱を秘めた感じの舞曲といった所か。

転落調のピアノで始まる6曲目は、曲名通りに計り知れない程の

深い喪失感感じさせる慟哭のメロディーが強烈に胸に迫り来る

7曲目は、優しく包み込む感が有りつつも寂しげかつ切なげ

やるせない静かな流れから、会えない想い人への焦がれる

想いを告げる様な、明るくも物悲しい盛り上がりを展開するサビへと到る。

8曲目はシューベルト"即興曲変ト長調Op.90-3"に歌詞を

付けたモノである。原曲は未聴控えめなピアノをバックに歌い上げる

高音域のVo.美しく優しく子守唄の様であり、

静粛としつつもまどろむ様な雰囲気を演出する。

の、雪の降る光景を想起させる9曲目は本編の始まりの悲劇的な旋律

まず胸を打たれるのだが、その後が何かエモーション不足な感じで

聴き手側としてイマイチ盛り上がらないのが残念だ。

ラストの10曲目は1曲目とメロディーが同じらしいけどイマイチよく分からなかった。

曲自体は森の中をさ迷う様なイメージが思い浮かぶのだが、不安困惑

感じられず、ポジティヴな、冒険気分の穏やかな曲といった所だろうか。

彼等の作品は今作が初めてゆえ、原曲との比較は出来無いけれど

楽曲は総じてクオリティが高いモノだ。

クラシカルかつ優雅で格調高い雰囲気モノを好むリスナーは

確実に一聴の価値有りな作品だと思う。オススメだ。

・・・とはいえ、個人的には5曲目みたいな動的というか躍動感の有る曲が

もう2、3曲欲しかったけど。

評価 80点

4,5,6,7がオススメだ。

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