Andi Deris
(ドイツ)
「Come In From The Rain」(97年作)
1.THINK HIGHER! 2.COME IN FROM THE RAIN 3.1000 YEARS AWAY 4.GOOD-BYE JENNY
5.THE KING OF 7 EYES 6.FOREIGN RAINBOW 7.SOMEWHERE, SOMEDAY, SOMEWAY
8.HOUSE OF PLEASURE 9.THEY WAIT 10.NOW THAT I KNOW THIS AIN'T LOVE
11.COULD I LEAVE FOREVER 12.IN THE LIGHTS OF THE SKY(ボーナストラック)
元「PINK CREAM69」、現「HELLOWEEN」のVo.のソロアルバム。
09年5月18日のDiaryで記した、約55枚購入した内の1枚である。
メタラーにはHELLOWEENのフロントマンとして有名だが、
それ以外の音楽ファンのために、簡単な経歴を記しておこう。
87年にPINK CREAM69を結成し、活動していたが、93年に脱退。
友人であったマイケル・ヴァイカート(Gt.)に誘われ、
94年にマイケル・キスクの後任としてHELLOWEENに加入。
以降、現在(10年9月)まで活躍を続けている。
ネットでは、「彼の最大の特徴は金属的かつブルータルな
歌い方だけでなく、非常に穏やかで悲しげな楽曲にも
対応できる表現力豊かな歌唱力である」と有った。
ソロとしての1stである今作の楽曲の音楽性は、
哀愁や叙情性を漂わせたメロディーを主軸に置いたメロディックロックで、
HELLOWEENの様なHR/HM路線の曲は1曲程度。
メタラーよりもメロディー派のロック者向きな作品だろう。
HELLOWEENのメンバーもゲスト参加しているぞ。
1曲目はアコギの叙情的な音色で始まり、Key.との絡まりが
怪しげな雰囲気を演出。不安げで寂しげな哀愁メロで進行し、
サビでは泣きを感じさせるエモーショナルな歌唱を聴かせるぞ。
奥に引っ込んだKey.の教会音楽風なソロで始まる2曲目は
短い語りに続いて本編開幕。暗く、慟哭を含んだドラマティックな
哀愁メロはサビで叙情的に盛り上がる。
児童虐待をテーマにした3曲目はメロディアスハード寄りの
ミドルテンポ曲。Gt.が頑張っており、叙情的な音色を奏でたり
歌謡曲っぽいソロを弾いたりと良い仕事をしているな。
人気の高い曲の様だが、曲自体は抜けた出来という訳ではないと思う。
亡き祖母に捧げたバラードの4曲目。
曲展開は割と有りがちな気がするんだけど、個人的には好きだ。
始まりのピアノの旋律からして大切な人を失った悲しみを伝え、
思い描かせ、歌メロに到ると闇色の孤独の情景へと展開。
Ba.の低音が心情を表現している様で、実に良い。
ピアノとの絡みは叙情性を助長し、さらに良い。
ドラマティックに進行し、到ったサビはとにかく泣きの一言。
悲しみを隠す事無く、吐き出す様に泣いている光景が、
涙の代わりに激しい雨が降り注いでいる光景が想起される。
そんな悲しみと泣きのエモーションを強く感じさせる曲だ。
5曲目は今作唯一のHR/HM路線の疾走曲。出来はまあまあだな。
7曲目は黄昏た雰囲気の穏やかなスロー曲。バックで弾かれる
Gt.が揺らめく様な音色を奏で、漂う様な感覚を与えている。
ハードでダーティーな感じのギターリフが聴けるアメリカン寄りの8曲目。
アコギの穏やかで叙情的なメロディーに乗せて歌い上げる10曲目。
でも、穏やかなのに周りには誰も居ない様な空気が感じられるな。
しばらくしてバンドサウンドが加わり、コーラスも登場する。
Ba.の低音が浮遊感を感じさせる黄昏た哀愁メロでもって
ゆるやかに終わりへと向かって行く。
ラストの12曲目も黄昏た哀愁メロの曲だが、他の曲と比べて
こちらではバンドサウンドがメロディーの哀愁や叙情性を
力強く、色濃く、ダイレクトに伝えて来る感じ・・・・・・かな。
今作を聴いた感想としては、
彼にはHELLOWEENの様なHR/HM路線よりも、こちらの様な
メロディックロック路線の方が合っていると思えた。
声質が最大の要因だと思うんだけど、個人的にはHELLOWEENでの
彼には物足りなさを感じていて、今一つハマれないのよ。
それゆえ、今作にも大して期待してなかったのだが、自分の中の評価を
幾分改める良い結果となった。これなら次作もそれなりに期待出来るかな。
評価 79点
1,2,3,4,7,10,12がオススメだ。