BLOW

(日本)

「風が見える瞳のままで」(94年作)

1.そばにいてほしい 君にいてほしい  2.傷だらけの天使  3.もう離さない

4.風が見える瞳のままで  5.RAINY BLUE  6.君に会いたくて  7.ジレンマ

8.J's POWER  9.眠らない 眠れない  10.静かな時の中で

Rey's in系ロックユニットの2nd。

某複合量販店にて、新古品100円で販売されていたので購入してみた。

まずは解説。

「Rey's in」というのは、音楽制作会社Beingの創設者・長戸大幸の弟である

長戸秀介によって82年に設立された音楽制作会社である。

このBLOWはそこに所属していたので「Rey's in系」と記す。

所属していたアーティストでBLOW以外に知られた存在としては、

「藤重政孝」「浜田麻里」などが居た。

では、ユニットの話に行こう。

80年代後半〜90年代前半に活動していた「Pli:z(プリィーズ)というバンドが前身で、

そのバンドのVo.Gt.Key.の3人がバンド解散後に結成したのが

このBLOWである。

楽曲はロック打ち込みサウンドを融合させたポップキャッチーなモノで、

一言で言うとJ-POP的アメリカンロックである。

ぶっちゃけ、90年代前半Being系のサウンドに似ているので、

その手の楽曲が好みであれば受け入れられるはずだろう。

Vo.の声質は、女受けしそうな声とでも言えば良いんじゃなかろうかと思う。

1曲目は高揚感を煽る情熱的ドラマティックなメロディーの走曲で、サビでは

浮遊感が加わり、間奏等で放たれるギターソロ雰囲気を助長するぞ。

しかし、このギターサウンドはモロに当時のBeing系の音やねえ。

2曲目は逆境感の有るドラマティックなメロディーの曲で、何処か

ダンサブルな感じがするな。1曲目同様、ギターソロ雰囲気を助長する。

3曲目はトレンディドラマティックなメロディーの走曲で、80年代後半

思い返しそうだな。正直、好みが分かれると思うなあ。

ちなみに、この曲を聴いて馬徳の脳裏に浮かんだのは

「教師びんびん物語」だった(笑)。

5曲目はアコギ2本叙情的な音色を奏で、Key.雰囲気を演出する

薄暗くしめやかなアコースティック曲。

7曲目は前面に出た鼓動の様なドラムサウンドが威風を漂わせる走曲。

8曲目はライト感溢れるポップな走曲。

間奏ではピアノ(かKey.)が踊る様なソロを聴かせるぞ。

9曲目はイントロこそ(ゲージ的な)上昇感が有って期待を煽られたのだが、

歌メロに入ると普通にJ-POPな疾走でガックリよ。まあ、嫌いじゃないけどさ・・・。

馬徳はJ-POPに対してそれなりの懐の広さを持っているし、

90年代前半のBeing系サウンド好みなのだが、

今作はどうにも売れ線色が濃くてイマイチ好かなかった。

Vo.も今一つ好きになれなかったしなあ。

Rey's in系のサウンドを聴くのは今作が初めてだけど、他のはこうでない事を願うよ。

評価 70点

1,2がオススメだ。

「BREATHLESS」(95年作)

1.SUCCESS  2.風に吹かれて  3.Looking For Love  4.For You

5.I'm in love with your eyes  6.NAI Ai Ai  7.ふたり  8.TAKE MY BREATH AWAY

9.RAIN  10.この星の願いが聞こえる

Rey's in系ロックユニットの4th。

某複合量販店にて、新古品100円で販売されていたので購入してみた。

彼等のアルバム全てを聴いた訳ではないけれど、

個人的には一番評価の高い作品である。

楽曲の音楽性はロック打ち込みサウンドを融合させた

J-POP的アメリカンロックである事に変わりは無いが、今作では

Key.の音が目立って耳につく所が有り、そこがまずマイナス点だな。

だが、今作では彼等の楽曲における最高傑作と言える曲が収録されている。

それが1曲目の疾走曲「SUCCESS」である。

「クールにキメるぜ!」と言わんばかりのスタイリッシュ

メロディアスなこの曲の出来の良さは別格であり、J-POP好きならば

まず間違い無くキメられてしまうだろうキラーチューンだ。

2曲目はいかにもアメリカンライトさ生き生きとした活気に溢れ、

真夏の様な漂う熱気に気分を高揚させられるポジティヴさ全開

ミドルテンポ走曲だ。スタイリッシュSyn.都会感を、

キラキラしたKey.爽やかさを演出しているが、

Key.目立ち過ぎで耳につくのが余計だな。

3曲目はクールダンサブルトレンディドラマティックチューン。

4曲目は90年前後トレンディドラマにでも使われそうなバラード。

5曲目は青春っ気を含んだ明るく爽やか感溢れる走曲で、何となく

こっ恥ずいモノが有るな。キラキラKey.が奏でられると

尚更そう感じられるよ。雰囲気にまるで付いていけない訳ではないけど、

女性向けだよなあ、コレは。

ダンス曲と言っても良い様な6曲目。

Being系の曲みたいなイントロの7曲目はバラード。

ピアノのメロディーに乗せて歌い上げるAメロから、アコギ2本が加わり、

叙情性が強まるBメロ。ここまでは良いんだけど、サビはお決まり的に

バンドサウンドが加わって盛り上がる。曲自体は悪くは無い。けど、ここまで

盛り上がり系の曲多かったんだから、1曲くらい静かに聴かせる曲

有っても良いのではなかろうか?と思うぞ。

8曲目は2nd収録の「傷だらけの天使」の様な感じの曲だが、こちらは

情熱色を含んだトレンディドラマティックで、ダンサブルさが有る。

イントロで今作中最も強いキラキラ感Key.を炸裂させて

ゲンナリさせられる9曲目。ロックという感じがあまりしない・・・。

ラストの10曲目は浮遊感の有る叙情バラードで、Aメロはアダルティック

雰囲気で穏やかに進行。世界を塗り変える様にバンドサウンドが

衝撃的に加わるBメロはエモーショナルかつスケールの大きさ

感じさせ、やがて地球的な広がりを感じさせるメロウ感動的

サビへと到る。間奏のギターソロもエモーショナルに弾き回され、

良い仕事をしているな。そして再びサビの盛り上がりを聴かせ、最後は

眠りに落ちる様に穏やかに幕を下ろす。

通して聴いてみると、以前よりもダンス曲の要素が濃くなったのが感じられた。

馬徳はJ-POPに対してそれなりの懐の広さを持っているけど、

こういう進化はハッキリ言って望んでない

Being系っぽくなってれば良かったのに。楽曲自体は悪くないんだしさ。

評価 76点

1,3,8,10がオススメだ。

「渇いた太陽の下で」(96年作)

1.最後の楽園  2.RUSTY ROSE(Album Version)  3.MONKEY GAME(Remix Version)  4.TRUTH

5.君が泣いた夜(Remix Version)  6.MOONLIGHT DANCE  7.あの瞳を忘れない

8.GOOD LUCK MY DREAM  9.JOHNNY BE COOL  10.COCORO

Rey's in系ロックユニットの5th。

某複合量販店にて、新古品100円で販売されていたので購入してみた。

前作からちょうど8ヶ月という間隔でリリースされた、彼等にとって

5枚目のアルバムである。今作では前作のマイナス点であったKey.による

キラキラした耳につくポップさが無くなり、全体的に何処か

力を抜いた感じの楽曲が収録されている。

今作を力を抜き過ぎと見るか、無駄な力が抜けたと見るかは

人それぞれだろうな。まあ、個人的にはどっちもどっちだけど。

1曲目はバンドサウンドピアノPer.しんみりとして憂いを帯びた

哀愁の雰囲気を演出するスロー進行から、ミドルテンポで何処か導かれる様に

サビへと向かうブリッジを経て、大陸的な広がり漂う様な浮遊感

感じさせる優しく穏やかなサビへと到る。

彼等にとって新境地を開いたと言えそうな1曲である。

2曲目はインダストリアル風の打ち込みサウンドが展開する中、

ハードロック寄りのバンドサウンドが登場。少々坦々としたミドルテンポの

進行ながら、スタイリッシュなKey.のリフが絡む事によって

洗練されたファッションショーの如き風情が感じられる。

到ったサビはノリには乏しい躍動感有るDr.が聴け、

Vo.メロディアスな歌メロを力強く歌い上げる。

3曲目はキャッチーな走曲。曲自体は悪くない歌詞がイマイチだ。

勢いの有る曲ではあるのだが、上記の様に力を抜いた感じが

悪い方向に出てしまった印象を受ける。

4曲目はトレンディドラマティックポップさを持った、

幾分ロックンロール寄り哀愁ミドルテンポ曲。

バンドサウンドが黄昏た雰囲気を演出する始まりの5曲目はバラード。

歌メロは静寂を演出するピアノメロに乗せて歌い上げる流れから

バンドサウンドが加わり、盛り上がるサビへと到る。

サビメロは90年代前半に割と有りがちな感じのモノだな。

6曲目はダンサブルノリの良い曲。曲自体は悪くないが、

バンドサウンドが引っ込み気味なため、盛り上がりに欠けるな。

7曲目は割とシンプルな感じの曲調のライトメロディアスな走曲。

希望へと向かって突き進む様なポジティヴさと若干の勢いの有る

ドラマティックな進行を聴かせる。サビはキャッチー

間奏のギターソロもメロディアスだ。

ピアノアコギが醸し出す落ち着いた雰囲気で始まる8曲目はバラード。

歌メロではKey.アトモスフェリックな役割を果たし、アコギの

静かなメロディーとVo.が絡んで過去を回想する様な曲調を展開。

到ったサビは慈愛を感じさせるメロウな盛り上がりを聴かせる。

9曲目はポップノリの良い曲だが、6曲目同様に

バンドサウンドが引っ込み気味盛り上がりに欠ける

ラストの10曲目は黄昏を含んだ穏やかさを持ったミドルテンポ曲。

サビは焦がれる様な哀愁を感じさせる盛り上がりを展開する。

全体的に力を抜いた感じの楽曲ばかりのため、どうにも盛り上がりに

欠けるし、中盤辺りでダレも感じた。力を抜いた方向に偏り過ぎである。

でも、サウンドの感触は上記の2nd4thと比べて、今作が一番良かった。

これでバランス良く仕上げられていれば80点ぐらいの評価は出せたろう。

次作に期待と言いたい所だが、他の作品はもう購入する気が無いので

彼等の作品のレビューはこれにて打ち切りである。

評価 73点

1,2,7,8がオススメだ。

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