Beryneck
(日本)
「TRIO ENSEMBLE」(02年作)
1.RADO 2.Picture 3.ギフト 4.メモリアル・デイ
5.How to stop time 6.リピート 7.そこに座って 8.paralisis
愛知県出身の女性3人組ハードコア/ポストロックバンドの1st。
10年4月22日のDiaryで記した、5枚購入した内の1枚である。
ネットで調べてみたのだが、バンド自体の情報はロクに見付からなかったし、
メンバーの1人は現在(11年3月)「DANCEBEACH」というバンドで
活動している様なので、既に解散しているのだろう。
ネットでは楽曲の音楽性に関して、
「ポストロック的アプローチが色濃く表れていて、
繊細に神経質に、一筋縄ではいかない屈折した曲構成に
なっている」と紹介されていた。
個人的には「HEAD PHONES PRESIDENT」を彷彿とさせるモノを
Vo.の歌唱スタイルや曲の雰囲気辺りに感じた。
割と音楽性は近いのかも知れない。
1曲目はファミコンのゲームミュージックみたいなサウンドの
Gt.による神経質なリフに始まり、Vo.とリズム隊が登場。
緊張感有る剣呑な雰囲気を醸し出し、ドラマティックな進行を展開。
女性Vo.の悲鳴めいたヒステリックな絶唱も飛び出す。
2曲目のミドルテンポ曲は暗さを感じさせるベースリフに始まり、
Vo.とバンドサウンドが登場。歌メロこそ親しみ易さの有るモノながら、
途中からGt.が不穏さを加味するフレーズを弾き回し、リズム隊と絡んで
退廃的な雰囲気を醸し出す。到ったサビは雰囲気はそのままだが
歌メロはライトだ。曲後半ではちょくちょく曲調が変わる。
曲の終わり方は打ち切りされた漫画の如く中途半端だ。
3曲目は困惑または混乱を表現した様なギターリフが聴け、
リズム隊は単調ながら、その絡みは不穏な雰囲気を醸し出し、途中で登場する
もう1本のGt.がこれまたファミコンのゲームミュージックの様な
サウンドながらドラマティックさを加える。Vo.は有っても無くても
どちらでも良いわな。
4曲目はバンドサウンドが暗さを演出すると同時に怠惰を感じさせる
スローテンポで進行。何処か唐突にサビ(?)へと展開し、退廃感有る
盛り上がりを聴かせるも、その後は鳴りを潜めた様な静かな流れへと展開。
結局、何も起こらずに終わりへと到る。
5曲目は曲調は特に記す事は無いものの、盛り上がるサビ(?)では
アトモスフェリックなコーラスが聴け、曲後半で登場する女性Vo.の
悲鳴めいたヒステリックな絶唱がノイジーに加工されている。
6曲目はバンドサウンドが黄昏た雰囲気を醸し出す穏やかな流れの
スロー曲で、Vo.はお経の様な歌唱を聴かせる。途中で曲調が変わり、
これまたちょくちょく曲調が変化する。
7曲目はバンドサウンドによるダークなリフで進行。途中で曲調が変化し、
また戻る。Vo.無かったら確実にダレそうな流れだが終盤盛り上がる。
ラストの8曲目は序盤、ギターリフともう1本のGt.が奏でる音色の
陰鬱な絡みが過疎化の進む寂れた農村を想起させ、途中で
アコーディオンっぽい楽器とBa.、あとSyn.も有るのかな?・・・が
雄大さを感じさせるアトモスフェリックなパートへと展開する。
Vo.はバックに引っ込んでいるけど、この曲ではその方が良いわな。
楽曲はメロディアスさ、キャッチーさに乏しいし、
どの曲もテンポは大して変わらず、似た様な部分も少なくない。
物事の順序というか構成というか、起承転結を無視したかの様な
複雑な流れの曲展開なのに、それでも何処か面白味が感じられるのが
不思議なモノである。
でも、一般受けは絶対にしないだろうし、マニア向けの作品やね。
HEAD PHONES(略)が好きな人やマニアックリスナーは
一聴の価値有りだと思う。
評価 74点
8がオススメだ。