柏木広樹

(日本)

「IN FUTURE」(06年作)

1.キャラバン  2.New World  3.RIO CALLING  4.地平線の向こうで  5.Beppo  6.mission-D

7.longing  8.Home Sweet Home(カヴァー曲)  9.砂時計  10.サーカス  11.Choro do Sol

東京都出身のチェリスト、作・編曲家の4th。

某複合量販店にて、新古品300円で販売されていたので購入してみた。

ネットで調べた所、大学在学中の89年に「G-CLEF」のメンバーとして

デビューし、90年にはNHK紅白歌合戦に出場している。

94年の解散後は数々のアーティストのライヴやレコーディングに参加し、

「葉加瀬太郎」音楽監督サウンドプロデューサーを歴任。

国内だけでなく、韓国のアーティストにも楽曲を提供している。

また、「森」というインストバンドを結成し、不定期ながら活動中である。

ソロ活動では盲導犬チャリティー朗読タップとの共演、

"Made in CASA FELIZ"と銘打ったシリーズライヴ等、ライヴ活動も

積極的に行なっている。CASA FELIZとはポルトガル語

「楽しい家」という意味で、一貫して自身の音楽を表すキーワードとしている。

今作のテーマは「究極のヒーリング・ミュージック。

ブラジル音楽と和(日本の童謡)の融合」との事で、

ネットでは「ブラジル音楽をベースにしつつも、アイリッシュ音楽

彼が持つ幅広い音楽性をそのまま詰め込んだかの様な

ポップでメロディアスなヒーリングミュージックを展開

・・・と紹介されていた。

1曲目は悲しみに沈んでふさぎ込む様な暗い雰囲気を演出する

チェロに始まり、Gt.Ba.Per.ピアノが加わって

穏やか優しい日常的メロディーへと展開する。

正直、あれは何だったのかと思わせる様な流れの悪さを感じさせられる

始まりだがメロディーの質は高いぞ。チェロは良い仕事してる。

2曲目は哀愁泣きを帯びたドラマティックシリアスなメロディーを

奏でるチェロGt.Dr.Per.Syn.などが絡むアップテンポ寄りの曲。

リズムにはスカっぽさが感じられ、Syn.は時おりアトモスフェリック

役割を果たしている。

3曲目は南国風の暖かみを帯びたオシャレ系穏やかな曲。

4曲目は不穏な雰囲気を演出するストリングスに始まり、

優雅穏やか日常的メロディーへと展開。

1曲目同様、あれは何だったのかと思わせる様な流れの悪さだが、

やはりメロディーの質は高い。途中で清涼感を感じさせるフルート

良いが、この曲の聴き所はチェロとストリングスの共演だろう。

曲終盤の盛り上がりが良いのだ。

5曲目は寂しげかつ悲しげ肌寒さすら感じられそうなピアノに始まり、

アコギがメロディーを引継ぐと儚く優しい感じが出て、

チェロが引継ぐと直接的にドラマティック感情が出て来る。

悲しくも救いが儚くも優しさが、そんな感じの曲か。

6曲目はチェロGt.Ba.Per.サックスが絡んでファンキーな

グルーヴを放つ曲。サントラっぽくもあり、Ba.リフを弾き、チェロ

サックスドラマティックさの中にアクティヴコミカルな感じを加え、

コーラス陽気な人々の楽しげな様子を思い描かせる。

7曲目は打ち込みリズムと悲しげかつ静寂を演出するピアノに始まり、

しめやか哀調のメロディーを弾き回すチェロが絡む哀愁曲。

盛り上がる部分にはちょいと歌謡曲っぽさも有るかな。

8曲目は映画「ビルマの竪琴」でかかっていた曲との事。今作唯一のVo.入り。

チェロGt.Dr.Per.等生楽器ではあるのだが、Syn.

エレクトロポップス風なせいか、そちら寄りの楽曲に仕上がっている感じだ。

9曲目はバンドサウンドとチェロピアノフルートPer.が絡む

サントラ寄り哀愁ドラマティックチューン。メロディー自体は

哀愁系なのだが、リズム隊の影響か、何処か忙しない印象を受ける。

悲しいけどそれに浸ってはいられないってな感じか。

10曲目はバンドサウンドとチェロピアノPer.アコーディオンが絡む曲。

始まりのオレンジの様な清涼感を感じさせるアコーディオンの音色が

まず良いな。明るく優雅チェロが舞い、Per.(多分)が踊る。

途中からは躍動感も出て来るぞ。チェロとアコーディオンのハモりも良いな。

後半ではノリの良いピアノも飛び出し踊る。華やか楽しい

盛り上がりが展開され、最後はアコーディオンのソロでフェードアウトだ。

ラストの11曲目はノコギリの様なノリの良い弾き回しのチェロが聴け、

それにGt.Per.が絡んで日常のコミカルな1コマを描く感じの曲。

途中で一度幕を下ろしたと思ったら、最後にアップテンポになってそれで幕となる。

楽曲はどの曲も質が高く捨て曲も無いのだが、メロディーは

この手のモノとしてはあまり珍しいモノでもなかったな。

それに、3曲目の様な何処にでも有りそうな曲要らないわ。

色々な楽器を使っている訳だし、多様性はもっともっと有って良いと思う。

チェリストだからと言って、チェロに重点を置いた曲ばかりでなくても

良いのではなかろうか。まあ、これは他の楽器奏者にも言える事だけど。

とはいえ、上記の様に質は高いので、この手のモノが好きなリスナーは

買って損をする事は無いと思うぞ。

評価 80点

5,6,7,10,11がオススメだ。

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