水田達巳
(日本)
「この扉を開ける前に・・・」(96年作)
1.泣かんといてくれ 2.小さな放課後 3.あるストリッパーへ捧げる詩 4.待てない女
5.淋しい想い 6.見あきたピカソ 7.とにかく今は幸福だよ 8.それがどうした
9.Once in my life 10.セキセイインコと誕生日
大阪府出身のシンガーソングライターの1st。
09年7月18日のDiaryで記した、約30枚購入した内の1枚である。
ネットで調べてみたのだが、あまり情報が見付からなかった。
94年にメジャーデビューし、シングル数枚と今作をリリース。
クビを切られて以降はインディーズで活動し、音源を出している。現在(10年6月)は
ライヴ活動を行ないつつ、若手の育成にも力を注いでいるとの事だ。
楽曲の音楽性はブルージーで男臭い、哀愁のロックで、
ちょいとしゃがれた感じのVo.が大阪弁で歌い上げる。J-POPの様な
チャラけた所の無い、男臭い世界は新鮮に感じられるかも。
「BORO」がプロデュースとアレンジを務めているので
初期のBOROっぽい所が有る様だが、個人的にはBOROの音源は
聴いた事が無いのでよく分からんのよ。
1曲目は照らし出す様な明るさの有るスロー曲。
包み込む様に、安らぐ様に穏やかかつ静かに、ゆっくりと歩み行く。
途中でバンドサウンドが加わり、Gt.が泣きのソロを聴かせる。
2曲目はロックンロール調のミドルテンポ走曲。
ハーモニカが哀愁を助長し、ピアノ(かKey.)がドラマティックに演出する。
3曲目。始まりの静かな曲調はしゃがれた声質に良くマッチし、
男の哀愁をひしひしと伝えて来る。ピアノがアダルティックな
雰囲気を醸し出す歌謡曲寄りの曲調に展開すると
哀愁が減退してしまうのが勿体無いな。
4曲目も歌謡曲寄りのミドルテンポ曲で、ムーディーかつ怪訝そうな
ベースリフを軸に進行する。ピアノは雰囲気を助長し、
間奏ではジャジーなソロが聴ける。これがなかなか良い感じだ。
5曲目はまどろむ様に静かな曲調で進行するスロー曲。
寂しげ感を助長するハーモニカが良い仕事をしているな。
カントリーっぽいアコギ(多分)が聴ける黄昏た感じの6曲目。
7曲目はピアノの物悲しいメロディーに乗せて過去を物語る様に
歌い上げるスロー曲。途中から加わるアコーディオン(多分)の音色が
回想する雰囲気に合っていて良い。
部族ダンスの様なノリを生み出すPer.(かDr.)が聴ける8曲目。
今作中一番メロディアスな歌謡バラードの9曲目。
ラストの10曲目は物語のエピローグ的な、爽やかに明るい
気力充実のポジティヴソングだが、ちと長いな。
この手の楽曲がウケる年齢層は中高年が大半で、今作もその範疇であろう。
個人的には20代半ば辺りなら案外受け入れられるモノが有る様に
感じられたのだが、どうだろう?それとも、単に馬徳が年食っただけだろうか?
評価 75点
2,4,5,9がオススメだ。