竜童組

(日本)

「ベストアルバム〜東京Blood Sweat &Tears」(90年作)

1.八木節イントロデュース  2.WA-HA-HA  3.GENIUS  4.津軽口説組曲

5.OIRA JAPANESE BAND MAN  6.BUBBLE UP BOOGIE(SWINGIN' VERSION)

7.祭囃子がうねるよ  8.GAIYA ON THE ROAD  9.ORIENTAL MOON  10.YO-SORO(Live version)

11.ザ・カムイ(The Kamui)(インスト)  12.身も心も

宇崎竜童率いるバンドのBestアルバム。

今作は某複合量販店にて、中古180円で販売されていたのを購入した。

正直な所、Bestじゃなかったら多分買わなかった。

竜童組について少々説明すると、日本の伝統音楽と西洋との垣根を越えた

異種音楽格闘技を目指すべく結成されたバンドとの事。

各地の祭りにゲストとして呼ばれ「お祭りバンド」の異名が付いたという。

活動期間はそんなに長くはなく、85年〜90年までであった。

10人もの大所帯なバンドで、Gt.、Ba.、Dr.以外に、Key.、Per.、ヴァイオリン、ハープ、

アルトサックス、テナーサックス、フルート、トランペット、和太鼓などの奏者が居た。

ちなみに、宇崎竜童はVo.以外に和太鼓やトランペット、サイドギターを

務めたりとなかなかに芸達者である。

個人的な見解で言うと、このバンドの音楽性は「AOR」ならぬ

「AOK(歌謡)/E(演歌)R」といった所だろうと解釈している。

1曲目は竜童組テーマソング的なナンバーであるお祭り演歌的

アップテンポ曲だ。お祭りバンドと呼ばれる所以はこの曲にあったと思う、と

宇崎竜童本人が語っている。笛系楽器(何かはわからん)の繰り返しの

フレーズ(要するにリフ)で始まるこの曲は、歌メロになると演歌調の歌い回しになり、

馬徳をガクッとさせた。メロディーも次第に股旅演歌調になっていく。

間奏では数人のコーラスが「ワッショイワッショイ」景気の良い声を出す。

2曲目はメロディーに若干演歌の要素を含みつつも、そこにPOPの要素

足した様なアップテンポ歌謡曲だ。AOR好きにもアピール出来る曲だと思う。

3曲目は大人の男の渋さを放つミドルテンポ曲。「矢沢永吉」

歌ったら凄く合ってるんじゃないかと思うが、竜童の声も十分渋さを出してるぞ。

4曲目は時代劇的な太鼓から始まる。そこにハープが加わり、やがて不穏

Gt.のサウンドが怪しく流れる。満月の下で歌い回す様な雰囲気のVo.の後、

和洋折衷メロディアスなサウンドで走る。その後はにもにも思える

メロディーが夜を思わせる様に静かに流れ、それが終わると今度は

太鼓が連打され、刑事ドラマで使われそうなサウンドへと展開して終わる。

まるでプログレの様に展開が変わっていく。

Vo.入れずにインスト曲としても良かったんじゃないかな。

5、6曲目は80年代中期の曲に洋楽テイストを少し足した様なミドルテンポ曲。

7曲目は笛系楽器の音色が爽やかに流れるも、全体のサウンドはダンサブル

感じの躍動感の有る曲だ。伸びやかなサビの歌唱がお祭りを意識させる。

8曲目は数人のコーラスの「GAIYA」という掛け声から始まるお祭りっぽかったり

別な面を出したりするミドルテンポ曲。コーラスが大活躍だ。

9曲目はムーディーなスロー曲。ゆったりほんわかした雰囲気が有り、

聴いてて眠くなってしまった。中国を想起させるヴァイオリンの音色が印象的。

10曲目はアコギに乗せて歌われる曲。スタジオ盤だとどういう感じに

なるかわからないが、アコギの音色がを思わせる。

11曲目はインスト曲。Dr.連打でロック調なサウンドで始まる。明るく

サントラの様な曲調にコーラスのお祭り的掛け声はどうかな、と思ったものの、

そうでもなく、普通に溶け込んでる感じだ。途中で太鼓が入って展開が変わる。

しばし太鼓が打たれた後、Gt.が交代する様に入って追い掛ける様な

サウンドになる。途中でテンポが速くなり、緊迫した雰囲気に変わる。

刑事ドラマにはホント良く合いそうな感じだ。トランペットの音色に隠れてしまって

分かり辛かったが、終盤ではGt.を弾きまくっている。

4曲目程ではないが、この曲もプログレ的な所が感じられる。

泣きGt.のイントロから始まるラストの12曲目は歌謡バラード。

流麗なピアノの調べに乗せて歌い上げるVo.は何か合ってない感じがする。

多分これは声質が合ってないからだと思う。

間奏ではまずピアノが暗く物静かなメロディーを奏で、

そこにヴァイオリンの儚く寂しげ胸を締め付ける音色が加わり、次いで

トランペットが渋さ哀愁を演出し、最後にGt.が泣き激情のメロディーを放つ。

このジェットストリームアタックの如く畳み掛ける様なメロディーは

メロディー派、またはクサメタラー

「俺を踏み台にしたぁ!?」と唸らせる事だろう(ウソ)。

演歌が許容範囲のリスナーならこのBestアルバムは

聴く価値が有るのではないかと思う。

評価 73点

2,3,4,11,12がオススメだ。

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