SAVATAGE
(アメリカ)
「"STREETS" A ROCK OPERA」(91年作)
1.STREETS 2.JESUS SAVES 3.TONIGHT HE GRINS AGAIN /STRANGE REALITY
4.A LITTLE TOO FAR 5.YOU'RE ALIVE /SAMMY AND TEX 6.ST. PATRICK'S
7.CAN YOU HEAR ME NOW 8.NEW YORK CITY DON'T MEAN NOTHING
9.GHOST IN THE RUINS 10.IF I GO AWAY 11.AGONY AND ECSTASY /HEAL MY SOUL
12.SOMEWHERE IN TIME /BELIEVE
フロリダ州出身のHR/HMバンドの6th。
11年1月6日のDiaryで記した、15枚購入した内の1枚である。
ネットで調べた所、ジョンとクリスのオリヴァ兄弟を中心に、78年に前身のバンドを
結成。同名のバンドが存在したため、後にSAVATAGEへと改名される。
元々はNWOBHMの流れを汲むダークな雰囲気を持った
典型的なパワーメタルをスタイルとしていた様で、一部では
「VICIOUS RUMORS」、「METAL CHURCH」、
「ARMORED SAINT」などと共に「アメリカンパワーメタル四天王」と
例えられていたが、プロデューサーのポール・オニールの助言の下、
ドラマティックな構築美をベースとしたHR/HMへと
音楽性を変化させていったとの事だ。
今作はHR/HM史上において、「QUEENSRYCHE」の
4th「OPERATION:MINDCRIME」と並ぶコンセプト作の名盤として
語られる1枚である。
NYを舞台に、D.T.ジーザスなるドラッグディーラーの、
ロックスターとしての成功と挫折、そしてそこから見つけた
真実を語るストーリーのロックオペラを展開。
ピアノの音をふんだんに盛り込み、オーケストレーションも随所に導入した
プログレっぽくもあるドラマティックなサウンドを聴かせる。
ジョン・オリヴァのダミ声で癖の有るVo.は好き嫌いが分かれるかも
しれないが、ウド・ダークシュナイダーのダミ声に比べれば
個人的には十分に許容範囲である。
1曲目は教会音楽風の少年少女クワイアに始まり、オルゴール風の
不穏さを演出するメロディーが展開。続いてバンドサウンドが登場し、
ダークなリフが邪悪に物語の幕開けを告げる。
グルーヴ有るミドル/スローテンポの進行には何処か都会感が感じられ、
到ったサビ(?)では上記のリフにクワイアが絡み、荘厳かつ重厚だ。
間奏のギターソロはドラマティックで泣き具合もなかなか良いな。
都会の雑踏SEと台詞で始まる2曲目はミドルテンポ曲。
Gt.のドラマティックなリフに絡むSyn.がスケールの大きさを
感じさせると同時に、ヤンキー風の緊張感を含んだ
いかにもアメリカンな雰囲気が展開。何処かサントラっぽくもあるな。
途中でギターソロが登場して泣きを放ち、幾分シリアスな所も見せる。
3曲目は喪失感を感じさせるピアノの孤独なメロディーで始まり、
バンドサウンドがドラマティックに展開。哀愁を助長するGt.がまず良い。
到ったサビは慟哭的な泣きを放つ盛り上がりを聴かせる。
曲が終わったので4曲目かと思ったら、まだ3曲目で続きだった。
Gt.による緊張感を感じさせるリフとライトなリフが聴けるハードロックだ。
ピアノの静かなメロディーに乗せて歌い上げるバラードの4曲目。
5曲目はポジティヴな雰囲気のキャッチーなハードロックかと思いきや、
途中で曲調が変わってちょいとアグレッシヴな雰囲気の
グルーヴィーな走曲へと展開する。
静けさを演出するピアノに乗せて歌い上げる始まりの6曲目。
曲自体は3曲目に近いが、途中でバンドサウンド見せる劇的さに
昭和歌謡っぽさを感じたのは馬徳だけだろうか?
また、Gt.がソロ等で良い仕事をしているな。
7曲目はGt.がミステリアスかつ不穏な雰囲気を醸し出す進行から、
登場するバンドサウンドがダークな哀愁を劇的に展開する。
ギターソロはちょいと長めに攻撃的に、ドラマティックに弾き回されるぞ。
8曲目は序盤、アコギの穏やかなメロディーに乗せて歌い上げ、
ハードな走パートへと展開する。ギターソロはスリリングで泣き具合良しだ。
9曲目は憂いを帯びたダークでヘヴィなハードロックのミドルテンポ曲。
Gt.の叙情的なアルペジオが良い味出してるな。ギターソロも良いぞ。
10曲目はバラード。序盤、ピアノの物悲しいメロディーに乗せて歌い上げ、
バンドサウンドが登場。慟哭のメロディーを展開し、到ったサビの盛り上がりは
明るさと悲しさが同居し、泣き笑いを想起させると同時に雨がよく似合う。
曲後半では希望を感じさせる様な明るさも見せる。
11曲目はGt.の緊迫感を感じさせるリフが聴ける
スリリングにドラマティックなミドルテンポ走曲の前半と、
ピアノの穏やかなメロディーに乗せて歌い上げ、そこに少年少女クワイアが
絡んでちょいと厳かな感じの後半で構成される。
ラストの12曲目は静かな進行から感動的な盛り上がりを見せるバラードに
続いてポジティヴにライトなハードロックへと展開するフリを見せ、
再び静かなパートへと戻る。で、また盛り上がりパートへと到る。
ジョンの歌唱がちと暑苦しい感じがするものの、ギターソロは神々しさを
感じさせる感動的なモノで良い。そして最後はピアノで静かに幕を下ろす。
1曲1曲は良い。全曲オススメ出来ると思えるしね。
でも、通して聴くとメリハリの悪さを感じてしまうため、全体的には
盛り上がりに欠ける印象を受ける。
個人的にはこれで名盤と呼ぶには無理があると思うなあ。
ミドル、スロー曲を引き立てるために、3曲ばかり疾走曲を上手い具合に
入れてあればもっと良い印象を受ける事が出来たと思うぞ。
評価 75点
全曲オススメだ。