Steve Barakatt

(カナダ)

「A Love Affair」(00年作)

1.Flying  2.Sailing Together  3.Nuit d' Amour a Paris

4.First Kiss By The Seashore  5.Private Lessons  6.Pure Smile

7.Sensual Night With You  8.California Vibes  9.Is It Destiny?

10.Valentine's Secret  11.Born Again

ケベック出身のピアニストの4th。

今作は某複合量販店の「1枚480円、3枚1,000円」セールで

格安かつ新品で購入した。

購入する際、この人に関しては全く知らず、上記の3枚1,000円のための

数合わせでの購入だった。BOOK-OFF行きになっても別にいいや、と大して

期待してなかった今作だが、これが案外悪くなく、手元に残る事になったのだった。

ピアニストのアルバムなので歌モノではなく、

インストゥルメンタルイージーリスニングの方に属するサウンドである。

「映画の様な恋愛」が今作のテーマだそうだ。

1曲目は中世の貴族の晩餐会が思い浮かぶメロディーだ。

その曲調が聴き手を絢爛豪華な世界へ誘う。

2曲目の「Sailing Together」は今作一番のお気に入り。

ピアノのメロディーに柔らかさと温かさが加わる。

その流麗かつ美しいメロディーは心地良く、聴き手の心を落ち着けてくれる。

自分でピアノが弾けたなら弾いてみたいと思う良い曲だ。

3曲目は切ない。悲しいではなく、切ないのだ。

恋愛の切なさを表現するかの様なメロディーが心に押し寄せる。

曲目は別の意味で切ない曲だ。

心に秘めた想い。それを伝えたくても伝えられないもどかしさ。

親友から恋の相談を受けるが、その相手が自分が想いを寄せる人だった。

しかし自分もそうだとは言えない。親友に遠慮して自分の想いを隠さなければ

ならなくなってしまった。いっそ自分もその人が好きなんだと言ってしまおうか。

でも親友を裏切りたくはない。自問自答を繰り返す堂々巡りの日々が続く。

・・・ベタなイメージだなあ。

5曲目。ピアノの静かなメロディーが上記のベタドラマを続けさせる。

悩み続けて元気の無い自分に声を掛けたのは、その問題の想い人だった。

自分の想いに気付く事も無く、自分の悩みの原因にもなっているその人は、

何か有ったのかと問いかける。当然、その何かを言えるはずも無い。

何も言えずにはぐらかす自分に、その人は明るく、元気を出せと言う。

自分がその原因だと知らずに、元気を出せなどと言う事に一瞬怒りを覚えるも、

そのまま話し続けるその人を見て、憎めずに薄く笑みをこぼすのだった。

6曲目もピアノの静かなメロディーだが、仄かな暖かさを持っている。

そしてベタドラマをイメージする。

良く晴れた休日。想い人から誘われて共に出掛ける。

その人は自分に元気を出してもらおうと、誘ってくれたのだが、

心の中では葛藤が続いていた。自分のしている事は親友に対する裏切り

適当にゴマかして去るべきじゃないのか、もしこの場を親友に見られでもしたら。

そんな葛藤を続ける自分を見て、その人は自分の手を取り、強引に辺りを回って行く。

その強引さに最初こそとまどっていた自分も、いつしか葛藤の事を忘れて

楽しんでいた。想い人の気遣いに気付いた自分は、一言「ありがとう」と声を掛けた。

そして自分の想いを確認するのだった。

イントロが夜更けをイメージさせる7曲目。

揺れ動く心をメロディーに変えて表現するかの様な曲調がドラマティックだ。

晴れた朝をイメージする8曲目。

朝食を調理するキッチンの光景。TVから流れるニュースのアナウンサーの声。

新聞を開く父親。ドタドタと忙しく出掛ける前の準備に追われる学生。

よく有りそうな朝の光景が思い浮かぶ爽やかな曲だ。

ピアノの静かで冷たさを含んだメロディーが静寂を呼び込みそうな9曲目。

こういう曲では聴き手は皆、静かに聴き入るのだろう。

別れを想起させる10曲目。

寂しさ、悲しさ、哀愁を持って胸に迫り来るそのメロディーが心の琴線に触れ、

曲の雰囲気に浸ってしまう。

ラストの11曲目。暖かな雰囲気の落ち着いたメロディーは幸せを表している様で、

また、何かを吹っ切り新しき先へ進もうとする事をも想起させる。

縦長の姿見の鏡に映った自分を見て、心で自分に語りかける。

「よし、大丈夫。自分は大丈夫。さあ、行こう!」と。

自分で記しといてなんだけど、上記の様なベタドラマを思い付いてしまうとは・・・。

実は第4話も思い付いてたんだけど、その先の5話目が思い付かなかったので

3話でストップした。レビューの文章がもっと思い付きゃ良いのに。

聴き手を楽曲の世界へ誘うロマンティックなサウンドが好きな方に

強くオススメ出来るアルバムだ。

しかし個人的には気に入ったが、女性向けだなこれは。

評価 85点

全曲オススメだ。

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