高宮マキ

(日本)

「鳥籠の中」(03年作)

1.情熱ざわめく  2.熱帯熱病  3.Indigo-digo-ego  4.鍵穴  5.WANNA LET YOU KNOW

6.初恋の人  7.鳥籠の中  8.A garden of the sun  9.鱗  10.I'm the one for you

11.私という球体  12.シュークリーム

兵庫県出身のシンガーソングライターの1st。

TSUTAYA某店の中古CDの半額セールにて購入してみた。

ネットで調べた彼女の経歴をまとめると、

大学時代から音楽活動を始め、自身が率いるコーラスグループ

某映画のイメージアーティストに選ばれ、キャンペーン活動を行なう。

また、関西ローカルのCMソングなどを歌っている。

大学卒業後は渡英し、ロンドンで約5年間音楽活動を展開。02年にリリースした

ミニアルバムでインディーズデビュー。同作品は欧州でも発売されている。

そして同年にメジャーデビュー。自身の作品以外にも

「久保田利伸」のトリビュート作や他のバンドの作品に参加したりと、

作詞作曲楽曲アレンジコーラスワークもこなしている。

07年に一旦音楽を離れて渡米し、生活の中で本場のゴスペル音楽に触れ、

帰国後、09年から音楽活動を再開している。

ネットでは楽曲の音楽性に関して、

いわゆる本格派志向でノリは洋楽のブラックミュージックそのもの

管楽器オルガンのアレンジにはクラシックソウルへの憧憬

読み取れると紹介されていた。

個人的にはロックやジャズ、R&B、歌謡曲を融合させた

本格派志向のソウル系ポップスと解釈している。

5オクターブの声域を有する彼女のVo.しっとりとした質感を保ちながらも

ベタベタしていない声質で潤い艶やかさ憂いを滲ませ、

実にドラマティック表現力豊かな歌唱を聴かせる。

これは大きな武器だと言えよう。

1曲目はR&B調浮遊感有る憂鬱な雰囲気のスロー曲。

雷SEで始まる2曲目も憂鬱な雰囲気の曲調だが、こちらはアコギによる

ドラマティックなリフが聴ける日常的メロディーのミドルテンポ曲。

サビは割と有りがちな感じのメロディーだ。

3曲目は物憂げなメロディーのスロー曲で、ここでもアコギによる

ドラマティックなリフが聴け、時おりストリングスが顔を出して

ドラマティックさを助長する。

4曲目はホーンセクション歌謡曲っぽさを加えている

R&B調のんびりしたスロー曲で、サビではゴスペル風の

コーラス(多分)が顔を出すぞ。

5曲目のミドルテンポ曲はジャジーながらロック寄りでもあるライトなノリ

バンドサウンドで進行。ちょいとコミカルさも感じられるかな。

多重コーラスも加わり、ドラマティックな盛り上がりを展開するサビが聴き所だ。

加工されたVo.伸びやかに歌い上げるパートも良いな。

曲の最後ではクワイア叙情的な雰囲気を醸し出して幕を下ろす。

7曲目はロックR&Bが混ざった様な感じのスロー曲で、

時おり壮麗なストリングスが顔を出してドラマティックさを助長する。

8曲目はロックジャズが混ざった様な感じのアダルティックにムーディー

ミドルテンポ曲。表現力豊かに歌い上げるVo.冴えるな。

9曲目は落ち着いた雰囲気を醸し出すピアノダブルベース

打ち込みのDr.によるジャジーなスロー曲。サビが聴き所で、

エモーショナルに歌い上げるVo.が実に良い仕事をしている。

10曲目はポップス寄りR&B調スロー曲。坦々とした進行からブリッジで

浮遊感有る叙情的な雰囲気へと展開し、割と有りがちな感じの

サビへと到る。時おり顔を出すKey.シリアスさを加味するぞ。

和の雰囲気を醸し出すアコギリフが聴ける11曲目は

ストリングスが引っ込み気味なのが勿体無いな。

ラストの12曲目はアコギBa.による、黄昏た雰囲気

まどろむ様に穏やかAOR寄りスロー曲。

本来、この手の音楽性はほとんど受け付けないはずの馬徳なのだが、

今作は滅多に無い例外中の例外で、完成度の高い良盤だと思う。

楽曲はどれも高品質となる曲が無いのがちと残念だが、捨て曲も無い

この手の音楽性を好むリスナーからは間違い無く80点越えの評価を

与えられる作品だと思うぞ。個人的には好みの本道から幾分ズレているので

大きな点数は付けられないけど、手元に残す価値は十分だ。

評価 76点

2,3,5,9,12がオススメだ。

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