聖飢魔Uトリビュート
(日本)
「VOICE」(06年作)
1.地獄の皇太子(右近健一) 2.THE END OF THE CENTURY(森川智之) 3.白い奇蹟(田中一成)
4.EL.DORADO(森田成一) 5.BAD AGAIN〜美しき反逆〜(古田新太) 6.嵐の予感(斎賀みつき)
7.STAINLESS NIGHT(杉山紀彰) 8.WINNER!(浅川 悠) 9.世界一のくちづけを(森川智之)
10.地獄への階段(完結編)・(高橋由美子 & KAMMURI)
聖飢魔U結成20周年記念のカヴァーアルバム。
BOOK-OFF某店にて、中古で250円で販売されていたので購入してみた。
ネットで調べた所、今作は聖飢魔Uの地球デビュー20周年を
記念してリリースされた、本家非公認のカヴァー作である。
邦、洋楽問わず、カヴァー作には当たり外れが付き物だけど、
ネットでは馬徳が確認しただけでも9割が酷評している。
「これを聴くと逆に聖飢魔Uの歌唱力、演奏力、表現力が
浮き彫りになってくる。改めて聖飢魔Uが偉大なバンド
であった事を思い知らされた気がした」、
「これじゃ、どう考えたって公認できないでしょ」、
「少なくとも新規信者の入口にはならんわなぁ・・・」、
上記のはその一部であるが、とにかく酷評されまくりである。
個人的にも感じた事だけど、参加陣が声優や俳優だというのが
そもそも疑問で、何故この面子なのか?どういう基準で集められたのだろう?
また、購入対象者を誰に想定して作ったんだろう?
聖飢魔Uは過去にアニメの主題歌を務めた事も有るけど、
それでも10年以上昔の事だしねえ・・・。
バンドサウンドはJ-POP寄りでアグレッションに乏しく、
HR/HM的なヘヴィさは期待出来ないが、個人的には本家も
あまりヘヴィではない印象を持っているのでその辺は特に気にならなかった。
あと、アレンジも幾分いじくってある様だ。
スローテンポで進行する叙情的な歌謡ポップス調の3曲目。
盛り上がるサビが聴き所でなかなか良いのだが、歌い手の声量不足が残念だ。
4曲目はアニソン調の走曲。Vo.はメロディーにマッチしており、悪くない。
5曲目はシンセストリングスやハープ(多分)が清々しい静寂を演出し、
ミュージカル風の歌唱を聴かせる。バンドサウンドが加わると劇的に展開。
Gt.が良い仕事をしているぞ。
個人的に一番良いと思ったのが6曲目。ちょいと宝塚系っぽい
艶の有るアルトヴォイスを聴かせる声優・斎賀みつきの歌唱は
実に良い仕事をしている。
ドラマティックさを演出するシンフォニックサウンドが聴ける7曲目は
「GRANRODEO」の杉山紀彰(Vo.)が歌唱を務める哀愁チューン。
閣下と声質が全然違うけど、これはこれで良いと思う。
ただのJ-POPなポップスと化した8曲目。
ラストの10曲目は過去に「20世紀最後の正統派アイドル」と評された
歌手/女優の高橋由美子と、映画「DETROIT METAL CITY」で
歌クラウザーさんを務めた冠 徹弥が歌唱を務める。
ピアノの物悲しく、寂しげなメロディーに乗せて高橋が歌い上げる
歌メロにはストリングスが加わり、哀愁を強調。途中から冠の歌唱も加わり、
やがてバンドサウンドが登場。今作中ではハードなバンドサウンドが聴け、
ミドル〜疾走へと展開。冠のメタリックなハイトーンシャウトも聴ける。
元アイドルとはいえ、高橋の歌唱力は閣下が絶賛するだけあって
なかなかのモノを有しているな。
企画自体は、試みとしては面白いかもしれないが、閣下の歌唱力には
誰も追い付いていない。やはり聖飢魔Uの曲をカヴァーするなら
HR/HMシーンの実力派シンガーでなければ駄目だろう。
信者が購入するべきモノではないけれど、
好きな声優が歌っているから、という事を購入動機とする
声優ファンにはオススメしておこう。
評価 75点
4,6,7,10がオススメだ。