吉田知加
(日本)
「吉田知加-12の花-」(01年作)
1.こうぶつ 2.倦怠犬-マンネリズム撲滅集より- 3.RAIN is blind 4.愛シニ来テ欲シイ
5.旦那さんへ〜日頃の感謝を込めて〜 6.がむしゃらな愛 7.解放 8.愛の巣
9.痴人 10.残骸-のこりもの- 11.刹那系 12.日向ぼっこ
京都府出身のBeing系女性シンガーソングライターの1st。
09年11月7日のDiaryで記した、49枚購入した内の1枚である。
ネットで調べた所、音楽制作会社Being所属のシンガーソングライターで、
00年〜02年まで活動していた。HPでは活動休止と有ったが、
要は売れなくてクビ切られたという事だろう。
楽曲の音楽性に関して、ネットでは
「昭和歌謡と70'sロックの中庸をゆく、レトロな雰囲気の楽曲、
古典的かつ従順な女の恋心をモチーフとした詞世界が
魅力である」と紹介されていたが、
今作当時、勢いの有った「椎名林檎」や「矢井田瞳」を
「露骨に意識して世に送り出したのが見え見え」だの、
「柳の下の2匹目のドジョウを狙ってレコード会社が仕掛けた
志低い女性アーティスト」だの、
果ては椎名林檎のパクリ呼ばわりされ、ボロクソに叩かれている。
まあ、確かにそれっぽく感じる所は有るけど、個人的には
そこまで言う程のモノでもないと思うなあ・・・。
1曲目は走曲。叙情的に奏でられるアコギはイントロこそ爽やかながら、
曲本編ではバンドサウンドと打ち込み(多分)のコンガのリズムが絡んで
憂鬱な雰囲気を醸し出す。気だるげに歌い回すVo.は表現力不足を
感じさせるが、ここら辺がまずパクリと言われる由縁だろうか?
2曲目も走曲。Gt.が静けさと憂鬱な雰囲気を演出するが、
前面に出るダンス調の打ち込みリズムが加わり、Vo.と絡むと
何処かじれったさを感じさせるな。
エモーショナルな盛り上がりを聴かせるサビが聴き所だ。
3曲目は昭和歌謡っ気の濃い曲で、それを現代寄りにした感じの哀愁曲。
Syn.が絶望、または慟哭的に弾き回される始まりの4曲目は
壮大にドラマティックな曲を予想し、期待したのだが、いざ本編に突入すると
都会感の有るドラマティックな曲というだけで、あのイントロは
何だったのかと思わさせられる。全くもって無意味だわ。
まあ、曲自体は出来の良いモノなんだけどね。
5曲目は肌寒さの感じられる寂しげで穏やかな曲調だが、
サビは典型的なBeing系メロを聴かせる。
この曲の様な歌い回しこそ、彼女の本来の歌唱なんだろうなあ。
ダンス調歌謡曲の6曲目。歌謡R&Bっぽい7曲目。
何処かで聴いた事の有るメロディー(曲名が思い付かない)の8曲目。
9曲目はバンドサウンドやSyn.、電子音が醸し出す
暗く、重い雰囲気に情念めいたモノが感じられるが、Vo.が声量不足で
情感の込め具合が今一つだ。勿体無いな。
途中から明るい雰囲気になるブルージーな歌謡ロックの10曲目。
和の雰囲気を持った民謡っぽさの有る曲調の11曲目は
打ちひしがれた様な憔悴感を帯びたミドルテンポ曲。
ラストの12曲目は暖かみの有る温和なメロディーのミドルテンポ曲。
途中から加わる優雅なストリングスが良い味出してるな。
多様な楽曲が収録されており、ダレる事はまず無いと思うが、
これを散漫と感じる人もいるかもなあ。もっとも、それより気に掛かるのは
実力不足なVo.で、楽曲を聴いていると不満に感じられる所が多かった。
声質は嫌いじゃないんだけどねえ・・・。
彼女本来の歌唱に合った曲で占められていれば、もう少し評価は上げられたろうなあ。
評価 74点
4,9,11がオススメだ。