ZENO
（ドイツ）
「ZENOLOGY」（９５年作）
１．HEAT OF EMOTION ２．IS IT LOVE ３．TOGETHER ４．SURVIVING THE NIGHT
５．IN THE DARK ６．LET THERE BE HEAVEN ７．MAN ON THE RUN ８．OUT IN THE NIGHT
９．YOU GOT ME DOWN １０．TICKET TO NOWHERE １１．IN LOVE WITH AN ANGEL
１２．CRYSTAL DREAMS（インスト）
９年ぶりのリリースとなる復活作である編集盤。
某複合量販店にて、中古で３８０円で販売されていたので購入してみた。
元「SCORPIONS」のウリ・ジョン・ロート（Gt.）の実弟、ジーノ・ロート（Gt.）が
率いるバンドで、今作は８６年にリリースされた１st以降の、８７〜９４年に
制作された楽曲をまとめた未発表曲集である。
長い期間にバラバラに録られたモノであるため、参加しているミュージシャンも
曲によって違う。Vo.はマイケル・フレクシグ（１，３，５，６，１１）以外には、
「FAIR WARNING」のトミー・ハート（２，４，８）と何故か
ヘルゲ・エンゲルケ（Gt./７，９，１０）が務めている。FAIR（略）からは楽器陣でも
ヘルゲの他にウレ・リトゲン（Ba.）とC.C.ベーレンス（Dr.）が参加している。
とはいえ、ウレはZENOのオリジナルメンバーなのだが。
８９年にバンドが事実上の解散状態に陥った後、ウレは後期のメンバーを
中心にしてFAIR（略）結成へと至るため、このZENOは
FAIR WARNINGの母体とも言えるバンドなのだ。
楽曲の音楽性はメロディアスハードであり、ジーノの作曲能力の高さを
窺わせる良曲が多数収録されているぞ。
１曲目「HEAT OF EMOTION」はFAIR（略）の１stにも収録されている
ドラマティックな哀愁のミドルチューン。FAIR（略）のも悪くないが、
個人的にはこちらの方が好みだ。
２曲目のミドルテンポ曲は、爽やかだけど力強いサウンドに乗せて、トミーの
ハイトーンVo.がエモーショナルに歌い上げられる良曲だ。
３曲目「TOGETHER」は多くのリスナーが名曲の評価を与える泣きのバラード。
「永遠の愛」がテーマらしい。心が打ち震える様な、それでいて
感動的なサビの盛り上がりは素晴しく、曲終盤の盛り上がりは凄まじく、
結果、馬徳を悶絶KOさせた。美メロ好きにはたまりませんぞ。
この曲、Gt.も良い仕事をしていて、間奏のソロや曲最後の部分のソロ等で
馬徳の胸に迫る音色を放ちよる。
イントロのコーラスを含めたサビの歌い回しによって、早くも馬徳の
ロックハートを掴みかける４曲目のミドルテンポ曲は哀愁のメロディーを
エモーショナルに歌い上げるトミーのVo.が冴え渡る良曲だ。
１〜４曲目と良、名曲が続いて、５、６曲目は雰囲気が変わり、叙情的で
落ち付いた感じのミドルテンポ曲へと展開する。
５曲目には漂う様な浮遊感、６曲目は暖かみの有るメロディーの曲だ。
そしてヘルゲの歌う７曲目。時おりKey.（多分）が不穏さを演出する
さすらい調の哀愁曲だ。ヘルゲのVo.はロクな評価を与えられてはいないが、
個人的には嫌いじゃないぞ。
Syn.によるドラマティックなイントロで始まる８曲目のミドルテンポ曲は
再びトミーのVo.が冴え渡る良曲だ。ソウルフルな歌唱を聴かせるサビが
聴き所で、泣きのエモーション放ちまくりでたまらんです。
９曲目はアメリカンハードっぽいライトなミドルテンポ曲。
この曲だとヘルゲのVo.がマッチしてると思えるな。
１０曲目はSyn.がオシャレな感じを演出する、ポップでライトなアップテンポ曲。
間奏がGt.ではなく、Key.によるソロなのは曲調に合わせたためなのかな？
割と平凡な感じのする１１曲目のバラードに続くラストの１２曲目は
映画のサントラ用に書き下ろしたというインスト曲。
何か、「上海アリス幻樂団」の「東方アレンジ」系のアルバムに
有りそうな感じの曲だな。雰囲気にしても、メロディーにしても。
良曲が多いのは良いのだが、そのほとんどがハイトーンVo.を生かしたモノ
であり、もう少し歌い回しに多様な部分が欲しかったなあ、と思う。
それに、音量のバランスの悪さを感じる曲が幾つか有る。Vo.に楽器陣、
それぞれが自己主張してまとまりに欠ける様に感じられたのだ。
あとはメリハリの悪さを感じた、といった所か。まあ、今作の様な作品だと
これは仕方の無い事かな、とは思えるが。
上記の様な部分で評価は落ちるが、メロディアスハード、アメリカンハードが
好きな人なら一聴の価値有りのアルバムと言えよう。
評価 ８２点
１，２，３，４，８，９，１０，１２がオススメだ。