al.ni.co

(日本)

「セイレン」(99年作)

1.Prologue  2.カナリア(album version)  3.「G」  4.晴れた終わり  5.Tough Luck

6.TOYS!  7.Suicide Solution  8.Blindman's Buff  9.Living For Myself

10.Prayer(隠しトラック有り「Fuck.Rock.Suck」)

「WANDS」のVo.上杉 昇とGt.柴崎 浩が結成したユニットの1st。

結論から先に言おう。

94年頃までのWANDSのサウンドを期待、求めている人は

今作を聴くのは止めといた方が良い。

WANDS時代とはまるで違うサウンドだからだ。

まあ、上杉 昇が唄っているのなら何でも良い、という人はいいだろうけど。

これは上杉の音楽の志向がオルタナティヴグランジの方向にあったためである。

実際、WANDSの95年のシングル「Same Side」辺りからその兆候が

現れ始めている。

1曲目は民族音楽なイントロから、「La...LaLaLa...」と歌い出す曲。

詞は長生きしたいという事が書かれているらしい。

2曲目はシングル曲。ゆったりとして、浮き沈みを感じるミドルテンポ曲。

歌い出しのぶれた様なVo.は、機械を使って加工したものではないらしい。

曲名が「カナリア」という割に、あまりっぽいイメージは湧かない。

間奏はジャズっぽい雰囲気が有る。

4曲目もシングル曲。「Cocco」「Raining」という曲に影響を受けたらしい。

アコギにヴァイオリンが加わる静かな始まりから、グランジ的サウンドへと進む。

本編の始まりは、波が打ち上げられた時の様な印象を受ける。

この曲に感じるイメージは、物悲しき終末感に満ちた世界

再生無き終わり、「死」の場面が所々で浮かぶ。

そんな世界でも空は晴れる。永遠の安息を与えるかの様に、温かく、柔らかく。

馬徳にとっては、al.ni.coにおける最大の名曲だ

5曲目。ちょっと息抜き出来る曲が欲しくて出来た曲らしい。

吟遊詩人が歌う、語りかける様な感じの曲だな。

6曲目はシングル曲。ライヴでは1,2を争う盛り上がる曲らしい。

7曲目。今まで、怒り悲しみ憎しみ絶望といった感じの曲ばかり

だったが、やっと温かみ安らぎを感じるメロディが来た

9曲目。メンバーの柴崎(Gt.)は、

「この曲が有るからal.ni.coが有るといっても過言ではない」

言っているらしい。Ba.鬱々としたフレーズが印象的な曲。

病んで澱んでしまった心の中に生まれた暗く激しい狂気

サビに到るまでのDr.が、心の葛藤を必死に抑え込もうと

もがいている様子を表現しているかの様だ。

抑え込むのが限界に達し、堰を切った様に溢れ出す狂気。

Vo.がサビでそれを表現、強調しているように感じる。

10曲目は、青暗く透明感の有る闇をイメージさせる

Gt.のフレーズから始まる、静かな、子守唄の様に感じる哀愁曲。

しかし、隠しトラックなんてやらずに普通に1つのトラックで収録すりゃあいいのに。

待ち時間が長いよ。この意図的(だと思う)に悪くした音は何やね?ちゃんと聴かせい。

重苦しいリアルな世界観を持ったアルバムだ。

多分、1度聴いただけでは理解しづらいだろうな。

疾走曲は無いけどこのアルバムではそれはやるべきではない。

好き嫌いは分かれるだろうが、馬徳的には良いと思うぞ。

残念なのは出て来た時期が遅過ぎた、という事だろう。

今作をリリース後のツアー以降は沈黙状態が続き、01年にal.ni.coは解散してしまう。

次のアルバムが聴いてみたいと思えるだけの作品なのになあ。

評価 76点

2,4,5,9、10がオススメだ。

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