master piece
(日本)
「そら」(06年作)
1.そら 2.届かない胸響(こえ) 3.鼓動 4.君が眠りにつくまで 5.未来のかけら
横浜出身の4人組ロックバンドの3rdミニ。
09年8月21日のDiaryで記した、15枚程購入した内の1枚である。
ネットで調べた所、結成は00年。
「常に最高傑作を作っていくぞ!」という意識を持って活動する
目標(master piece = 傑作)がバンド名の由来だそうだ。
04年にメジャーデビューを果たすも、わずか1年で
再びインディーズでの活動に戻り、07年に活動休止している。
今作が活動休止前最後の作品である。
楽曲の音楽性はミドルテンポ主体の情緒的にメロディアスな
ギターロックである。バンドサウンドのみでKey.やSyn.は無いが
十分なメロディアスさ、力強さが有り、個人的には非常に好感触だ。
1曲目は雨後の湿気混じりの様な憂鬱のメロディーで進行。
ギターリフはシンプルで無くてもあまり変わらない気がするが、
もう1本のGt.のアルペジオは目立たなくも雰囲気を助長しており、
こちらは良い仕事をしていると思える。徐々に盛り上がって到ったサビは
顔を出した晴れ間を思わせる照らし出す様な明るさ、
神々しさが感じられ、焦がれる様に甘美である。
2曲目は穏やかながら寂しげかつ寂れた様な雰囲気が感じられ、
1曲目同様、Gt.のアルペジオが雰囲気を助長しているが、もう片方は
時を刻む様に淡々と弾き回す。これまた無くてもあまり変わらない感じだな。
盛り上がるサビは切なくも情熱的で、情感込めて歌い上げるVo.が良い。
そして3曲目の「鼓動」でキラーチューンが到来だ。
Gt.は片方が不穏な雰囲気を醸し出す叙情的な音色を奏で、もう片方が
ドラマティックさを演出。エモーショナルに感じられる部分も有る。
この憂いを帯びた薄暗い静寂のメロディーから到ったサビが絶品で、
切なく感情を揺さぶる哀愁豊かに走る展開を聴かせる。
間奏では苦悩を感じさせ、やがてラストのサビ繰り返しへと到るが
そのダイナミックな到り方がまた良い。
ただ、曲の終わり方が若干唐突な感じで少々不満残りだけど。
何処かで聴いた事が有る様なイントロの4曲目は
Gt.が照らし出す様な明るさを演出するメロウな哀愁曲で、
サビには祝福する様な慈愛を感じるな。
ラストの5曲目は物悲しく、陰鬱で退廃的な慟哭の叙情曲。
救いになりそうな部分が希薄で曲名の「未来のかけら」を
何処に見出せば良いのか分からん。
欲を言うなら疾走曲も聴きたかったけど、わずか5曲で馬徳に
かなりの好印象を与えた良盤である。
これは是非とも他の音源を中古屋で見付けだして購入せねばなるまい。
活動休止が非常に惜しく、残念でならん。勿体無いぜ。
評価 84点
全曲オススメだ。