橋本ひろしと冒険団

(日本)

「サクラの下で」(04年作)

1.桜の下で  2.黒い瞳  3.仕事じゃなくて私見て  4.エンドレス  5.カラス

6.馬鹿なんだよね  7.ものさし  8.風は私に何はこぶ  9.相聞歌  10.愛娘

長野県出身のシンガーソングライター率いるヴォーカルグループの1st。

某複合量販店にて、中古100円で販売されていたので購入してみた。

ネットで調べた所、昭和KDE大江戸温泉物語等、20数社からなる

キョウデングループの創業者兼会長を務める方で、

ミュージシャンとしてよりも、実業家としての方が知られているだろう。

音楽活動を開始したのは50歳を過ぎてからだという。

グループ傘下の企業CM曲も自身が手掛けており、特に有名なのは

SHOP99のテーマソングである。

ちなみに、曲作りに目覚めたのは、ある日、従業員向けの訓示を書いている時に

「ん?もしかしてこれは歌かも!」と思ったのがきっかけとの事。

この「橋本ひろしと冒険団」は、橋本氏が私財10億円を投じて

結成したヴォーカルグループだが、07年に解散に至っている。

楽曲の音楽性は、基本、歌謡曲歌謡ポップスという事で良いと思う。

一部例外も有るけど。そして、3人の女性Vo.がそれぞれの楽曲で歌唱を務める。

1曲目は歌謡フォーク調安らぐ様に穏やかなスロー曲。

Ba.、アコギ、ピアノ、ストリングスが日本人の琴線に触れる

ノスタルジックで叙情的な和の雰囲気を醸し出す。

終盤、笛系楽器も登場し、叙情味に別の味わいを感じさせる。

2曲目はオリエンタルな異国情緒を感じさせる哀愁歌謡曲。

3曲目はうって変わってキュート系Vo.によるJ-POP寄り

明るいポップソングで、続く4曲目も同様の明るい歌謡ポップス曲。

5曲目はピアノを軸としたメロディーを少々ハスキー寄りのVo.

ちょいと演歌寄りの情感を込めて歌い上げる人生哀愁歌謡ポップス曲。

6曲目はA、Bメロでは透明感の有る情緒的な雰囲気を持った

穏やか日常的メロディーで進行し、到ったサビはSyn.

ちょいと劇的に展開し、歌謡曲寄りの曲調へと展開する歌謡ポップス曲。

打ち込みだろうけどオーケストレーション

壮大なドラマティックさを演出する7曲目は「上海アリス幻樂団」

東方アレンジ系の作品に有りそうな感じのファンタジック

キラーチューンだ。序盤は軍隊の行軍の様な勇壮さを感じさせ、

途中からメランコリックな曲調へと展開。ストリングスが実に良い仕事

しているぞ。大きな盛り上がりを展開するサビで再び勇壮になるも、

何処か悲しく切なく、その最後は泣きを感じさせ、そのまま続く間奏では

ピアノが登場。繰り出される悲しき旋律とどめとばかりに

馬徳の琴線に触れるのだが、残念な事に短いんだよね、これ。

ある程度の長さでもってすれば馬徳を撃沈出来たかもしれんのに、惜しい

ホント、勿体無いわ。それと、あともう一つ、この曲調に対して

歌詞全然ファンタジックじゃないのは何故だろう?

ピアノストリングスの絡みを軸とした8曲目はノスタルジックだが

過疎化の進む寂れた農村の如き黄昏を感じさせる儚い哀愁曲。

Vo.の歌い回しも良い仕事してるぞ。

9曲目のスロー曲は優しく穏やかな雰囲気の歌謡ポップス曲。

ラストの10曲目は橋本氏自身が歌う演歌の要素を含んだ歌謡曲

ワザとやってるんだと思うけど、田舎オヤジ的な歌唱を聴かせる。

一応、「Non」の作品が好きなリスナーに今作をオススメ出来るのだが、

散漫に感じられるかもしれないし、ハッキリ言って3、4曲目は要らない

曲調の流れがまるで合ってなくてぶち壊しもいい所。あの2曲で

今作の価値が確実に下がったぞ。他にも気に掛かる曲が無い訳じゃない。

橋本氏歌唱の10曲目も正直言うと要らないが、あれはボーナストラック

みたいに思っておけば許せる。5曲目もギリギリ許容範囲だ。

いっその事、無い方が良い4曲を抜いてミニアルバムで出しとけば良かったな。

それだったら80点台の評価が出せたのに。色々と勿体無い作品だわ。

評価 74点

1,2,6,7,8,9がオススメだ。特に7曲目

Review TOPへ戻る

TOPページへ戻る