馬島 昇

(日本)

「LIFE」(95年作)

1.光と風の道  2.ゆりかご  3.Forest Beats  4.母のつくろい  5.大地の祈り

6.六月の小夜曲(セレナーデ)  7.Water Dance  8.再会  9.青き淵から  10.恋慕(こい)

11.秋情  12.憧憬  13.夕陽にそまって

長野県出身のギタリストのメジャーデビュー作である2nd。

09年7月18日のDiaryで記した、約30枚購入した内の1枚である。

ネットで調べた所、日本では数少ないニューエイジ系の

アコースティックギタリストで、その経歴をまとめると、

88年に吉祥寺を拠点に活動を開始し、91年に1stをリリース。

アルバムの収録曲がNHKのドキュメ ンタリー番組の挿入曲に採用される。

95年にメジャーデビュー。96年に活動の拠点を長野県に移し、県内を中心に

作曲コンサート活動を行なっている。

また、驚いた事に同人系の音楽サークル「Cross Current」を立ち上げ、

「孟世」のアーティスト名で東方系の作品を制作している。

今作はアコースティックギターによるインスト作で、曲によっては

シンセストリングス二胡が重なり、東洋風味を盛り上げている。

ネットでは馬島氏の楽曲の音楽性に関して、

「美しいアルペジオに彩られた叙情感を身上としており、

そのノスタルジックなメロディーラインと透明感溢れるギターの音色は、

まるで空気を吸う様に自然に身体の中に沁み込んで来る

と紹介されていたが、

「行き過ぎとも思えるロマンティシズムに埋没しきっている様な

音楽は、聴き手によって大きく賛否の分かれる所かも知れない

とも有った。

アコギのみの曲も悪くないけど、個人的にはやはり上記の様に

シンセストリングス二胡が加わった曲の方がオススメだ。

アコギ物悲しいメロディーにシンセストリングスが加わる事によって

慟哭すら感じさせるドラマティックな曲へと引き上げる2曲目。

陰鬱かつ怪しげ閉塞感を感じさせる、何処か中華風な3曲目。

途中で加わる、打ち込みだろうけど尺八っぽい笛系楽器が怪しさを助長する。

母性的な温もり優しさを感じさせる4曲目。

5曲目はオリエンタルな秘境を想起させるアンビエント哀愁曲。

軸であるアコギ時の流れを表現している様であり、Syn.SE

季節に表れる自然の姿を演出している。その穏やかかつ静かな流れに

何人たりとも侵してはならないモノが感じられる。

流麗かつドラマティックアコギリフが聴ける7曲目は

人々が生きる姿を描いた様なアクティヴな曲。

8曲目は前半、故郷にて、帰り来る大切な人を待つ様な

静か寂しげな曲調だが、後半、その大切な人が姿を見せた際

嬉しさを感じさせる温か幸せな曲調へと展開する。

9曲目はアコギノスタルジックなメロディーに澄んだ雰囲気

演出するSyn.が絡んで神秘的に感じられる曲。

11曲目は打ち込みであろう笛系楽器が放つ哀愁の音色が

中華風の雰囲気を演出する情緒的に寂しげ哀愁曲。

12曲目は人の最期を看取る様な穏やかな雰囲気を持った曲。

バックのシンセストリングス良い仕事をしているな。

「手仕事屋きち兵衛」の作品同様、

1曲1曲が高品質な出来で捨て曲皆無ではあるのだが、やはり同様に

もう少し多様性が欲しかったな。聴く人によっては途中でダレると思うぞ。

まあ、この手の音楽性を好む方やきち兵衛氏の作品が好きな方には

十分にオススメ出来よう個人的にも高評価だ。

評価 82点

2,3,4,5,7,8,9,11がオススメだ。

Review TOPへ戻る

TOPページへ戻る