宮川真衣
(日本)
「ふたり」(08年作)
1.honeyboy 2.泣かずとも朝はくる 3.あなたとあたしの特権 4.sweet
5.青の午後 6.moment 7.必要なもの 8.ふたり
長野県長野市出身の女性シンガーソングライターのミニアルバム。
BOOK-OFF某店にて、中古で250円で販売されていたので購入してみた。
ネットで調べた所、長野県内のイベント、ライヴハウスを中心に音楽活動を
展開するシンガーソングライターで、不定期ではあるが
関東圏のライヴハウスにも出演している。
高校卒業後に路上やライヴハウスでの音楽活動を開始。
アコギによるオリジナル曲の弾き語りが彼女のスタイルで、
06年に出場したコンテストにてグランプリや準グランプリを受賞する。
FM長野の番組でパーソナリティを務めていた事も有るが、
現在(12年3月)は歌うOLであるらしい。
今作に関してのネットでの情報をまとめると、
作詞、作曲は全曲宮川嬢が担当。編曲にバンド「カミナリグモ」の
ghoma氏を迎える事により、ギター1本でライヴを続けてきた彼女の曲に
ピアノ、オルガン、ストリングス、パーカッション、バンドサウンド等が
加わり、彼女の音楽の世界をより広げるモノに仕上がっている、との事だ。
個人的にはJ-POPの女性シンガーソングライターの楽曲によく有りそうな
歌謡ポップスと解釈している。音楽性自体は特に個性的という訳ではない。
1曲目は穏やかで暖かな雰囲気ながら何処か憂鬱さが感じられる
日常的メロディーのミドルテンポ曲。
2曲目はジャズっぽさの感じられる雰囲気や曲調のミドルテンポ曲。
間奏等でバンドサウンドがちょいとコミカルなノリを放ちながら進行し、
憂いを帯びた叙情的にメロウなブリッジを経てサビへと到る。
3曲目は心に重いモノを抱えた様な精神的な辛さを感じさせる
ドラマティックな哀愁メロによる幕開けがまず良い。
スローテンポで進行する切なげで悲しげで、物思いに沈む様な雰囲気の
流れから感情的に泣きを放つドラマティックな盛り上がりを展開するサビ。
曲展開自体は珍しいモノではないけど良しだ。
4曲目はピアノが良い仕事をしている。明るさやコミカルさを放つと同時に
バンドサウンドと絡んで生き生きとした軽快かつ穏やかな日常感を
演出する爽やかにアクティヴなポップチューンだ。
5曲目は叙情的でノスタルジックなメロディーのミドルテンポ曲。
ピアノがドラマティックさを演出しているのだが、ちと前面に出過ぎな
気がするな。サビ前で加わるストリングスがイマイチ目立たないのよね。
でも叙情性を助長している歌メロは良いな。
6曲目はピアノ、オルガン(多分)、Per.(多分)、コンガ(多分)などが
絡んで小人が出て来る童話の世界の様な雰囲気を
コミカルかつ穏やかに醸し出すが、歌メロはそういう世界観ではなく、
穏やかで優しい感じの日常的なモノだ。
7曲目はVo.とGt.のみによる弾き語りの凄く短い曲。
ラストの8曲目は寂しげなピアノに始まり、Vo.とバンドサウンドが登場。
夕暮れ時を思わせる黄昏たノスタルジックなメロディーの曲で、
ピアノと絡むBa.の低音が叙情性を加味する良い仕事をしているな。
間奏のソロなどで顔を出す笛系楽器(多分)の音色は
別のノスタルジックな感触を与えてくれて良いな。
1曲1曲は質が高いのだが、通して聴くと何処か物足りなさを感じる。
聴き直してみれば、4曲目の様な曲がもっと有って良かったと思うし、
3、5、8曲目は似た感じの曲だと感じた。多様なようでそうでなかった、
という事かな。もっと音楽性の幅を広げても良いだろう。
とはいえ、入門編とするなら十分な質を有する作品だ。
ポップス者は聴いて損無しだと思うぞ。
評価 80点
1,2,3,4,5,8がオススメだ。