aphasia
(日本)
「Wings of fire」(06年作)
1.Overture(インスト) 2.Wings of fire 3.Heart to heart 4.炎
5.Tomorrow will come 6.Mirage on the ice(インスト) 7.Devil's luck 8.For you
9.Promised land 10.Cold blue moon
女性4人組ハードロックバンドの2nd。
11年7月9日のDiaryで記した、8枚購入した内の1枚である。
現在(12年2月)では非常に希少な女性のみによるハードロックバンドで、
ネットで調べた所、結成は95年。バンド名の由来は「EUROPE」の2ndに
収録のインスト曲"APHASIA"からで、意味は「失語症」である。
東京を中心にライヴ活動を展開し、03年にメジャーデビュー。
2枚のアルバムをリリース後、05年にインディーズでの活動に戻っている。
ベーシストに縁が無いのか、歴代のBa.は流動的で、05年にメンバーが
脱退して以降はサポートメンバーが務めており、3人組での活動となっている。
楽曲の音楽性に関して、ネットでは
「初期のSHOW-YAを若干メタル寄りにした感じで、
ハードな曲からポップな曲まで幅広い楽曲を聴かせる。
良い意味で"遅れて来た昭和のハードロック"」、
「歌謡曲の香りを残しつつも、ポップでキャッチーなメロディーを
前面にした爽快感の有るサウンドで、
聴き易くスンナリと耳に入って来る」
などと紹介されていた。
個人的には、割とウェットで哀愁が漂い、かつ叙情性を感じさせる
メロディアスなハードロックと解釈している。
シンフォニックかつドラマティックで荘厳なインストの1曲目から
そのまま続く2曲目はDr.のロールに始まり、アップテンポで進行。
Key.がドラマティックさを助長したりドコドコとツーバス踏んだり
しているのだが、引っ込んでいるために効果が薄かったり分かり辛い。
3曲目は怪しげかつ鳴りを潜めた様なリズム隊に大空の様な広がりを
感じさせるライトなGt.とKey.が絡む始まりが面白いな。歌メロに到ると
怪しげな所を残しつつもコミカルかつグルーヴィーに展開。これまた面白いな。
哀愁を帯びたブリッジを経て明るく成りきらないサビへと到る。
4曲目は暗い雰囲気の中、仄かに燃える炎の揺らめきをイメージさせる様な
ゆったりとした哀愁曲で、憂いの心情を表現した様なBa.に
ドラマティックさを演出する叙情的なGt.やKey.、
雰囲気を醸し出す役割を果たすコーラスと、実に良い仕事をしている。
5曲目はシリアスにドラマティックなアップテンポ曲。バンドサウンドは
躍動感を感じさせ、間奏等では緊張感を演出するギターリフが聴け、
単音弾き(多分)のKey.が緊張感を助長する。
この曲の聴き所はサビではなく、その後の間奏で慟哭を放つGt.が聴ける
哀愁パートとその後の疾走パートだと思う。
6曲目は黄昏た感じの叙情性溢れる哀愁ギターが聴けるインスト。
黄昏とは日が暮れて薄暗くなるとか盛りを過ぎて衰えるという
意味を持っているが、この曲のイメージはその両方が当てはまりそうな感じだ。
短いのが実に勿体無いキラー曲だ。
7曲目は力強さを感じさせるハードにドラマティックな哀愁チューン。
何か、「BLINDMAN」を彷彿とさせる曲だな。
8曲目は今作で一番一般層にアピール出来そうな
ポップでキャッチーなポジティヴライトチューン。
9曲目は今作で一番の攻めの姿勢を見せるハードなドラマティックチューン。
ラストの10曲目のミドルテンポ曲は前作からのリメイク曲。元々のは未聴なので
比較出来無いのだが、氷の世界を表現している様な冷たいSyn.が聴け、
ドコドコしたDr.は何処か鼓動の様でもあり、緊張感を煽られるな。
音楽性やサウンドの感触はSHOW-YAよりもBLINDMANのファンに
オススメ出来るモノだと思う。先にレビューしたBLINDMANの3rdと比べれば
楽曲の質はまだ劣る。しかし、楽曲の幅の広さではこちらの方が上かも。
メジャーデビュー後の3rdや4thに期待したい所だな。
評価 76点
1,4,6,7,10がオススメだ。