the ETERNAL

(オーストラリア)

「kartika」(10年作)

1.Silence  2.Without Reason  3.Lost Our Way  4.Self Inficted  5.Blood

6.A Pale Reflection  7.Sunshine  8.Illuminate  9.Walk Beside You  10.Kartika

11.Means For An Ending  12.Brighter Day

メルボルン出身のゴシックメタルバンドの3rd。

馬徳が音楽業界から初めてレビューの依頼を受けた記念に新品

購入した音源である。

以前のDiaryで紹介した様に、

無料雑誌「DiGiRECO/Electric Guitar」編集長と、

「BLACK SABBATH」のトリビュートバンド「BLOOD SABBATH」にて

Gt.を務める三谷さんが立ち上げた、ダークゴシックドゥーム系

インディーズメタルレーベル「STAY METAL RECORDS」

彼等「the ETERNAL」その第一弾バンドとして、

今作で日本デビューを果たしたのだ。

レーベルから送ってもらった資料によると、

「Cryptal Darkness」のマーク・ケルソン(Gt./Vo.)が率いるバンドで、

「H.I.M.」「OPETH」、元「NIGHTWISH」のターヤ率いる

「Tarja」等のライヴで前座を務めており、自身でも欧州北米を含んだ

3度のワールドツアーを経験している。

楽曲の音楽性は男性Vo.によるゴシックメタルである。

ダークで、メランコリックで、叙情的で、ドラマティックな楽曲は

よく有る女性Vo.シンフォニックゴシックと比べても、

そんなに大きな違いは無いと思う。

不穏かつ怪しげな雰囲気漂う1曲目の始まりは深夜の工業施設

想起され、暗闇の中に潜む残忍な狂気を感じさせる。

重厚なバンドサウンドが惨劇の幕開けを告げる様に登場。

血しぶきが飛散するを思わせるショッキングな進行から、

昂り歓喜を含んだ狂気の盛り上がりへと展開。

歌メロは精神的疲労感を感じさせる湿り気を帯びたメロディーで進行し、

ミステリアスに盛り上がるサビへと到るぞ。

2曲目の始まりは息子を誘拐された母親を思わせる悲愴感を感じさせ、

加わったバンドサウンドは無情さ酷薄さを感じさせる。

「身代金を抱えた父親が必死の思いで駆け付けた待ち合わせ場所

見付けたものは、幼い我が子の惨殺体であった。

・・・といった様なドラマティックなメロディーを展開し、歌メロへと突入。

静かな歌メロは茫然自失の状態を思わせ、盛り上がるパートは

計り知れない悲しみ慟哭感じさせる。

3曲目の重く暗く陰鬱な始まりには

生きる気力を失くしてしまった様な精神的ヘヴィさを感じる。

冷たいピアノ部分的に加わるこの曲では、

A、Bメロは停滞、または無気力から抜け出せない様な感じで、

泣き叫んでいる様なエモーショナルな盛り上がりを聴かせるサビは

メロウメランコリックが融合した様な強烈な悲愴感を放つ。

4曲目は退廃的かつ荒涼感の有る世界観のスロー曲。

間奏等で聴けるダークネガティヴ哀愁を放つGt.が良いな。

歌メロは温情感じさせる柔らかな始まりだが、Gt.徐々に迫る悪意

如く弾き回され、やがて力が全てを統べる暗黒の時代へと

変貌していく様な感じだ。この曲を聴いていて某世紀末救世主伝説

思い浮かべたのは馬徳だけだろうか?

5曲目のスロー曲はの様な音色が聴け、中東風の雰囲気が感じられる。

登場した重厚なバンドサウンドは冷酷かつ邪悪で、時に威風をも漂わせる。

コーラスが加わったサビは威圧感すら感じられるな。

でも、9分以上も有るんだからもうちょいメロディーに変化が欲しい。

6曲目のスロー曲は憂いを帯びた静かな進行具合から、

「ここら辺で骨休めかな?」思ってたら、結局、サビで盛り上がる。

サビメロが悪い訳ではないけど、ちと不満残りな曲展開だな。

7曲目はメロウかつ感動的なバラード。

Syn.の放つ神々しく神聖さ感じられ、祝福の如く世界を照らし出す。

それは苦しむ人々に救いを授ける様でもある。

間奏のハードロックっぽいブルージーなギターソロも良いぞ。

8曲目は受難の道を歩む様な哀愁を感じるものの、

目標へと向かうその目は、真っ直ぐに前を向いている様な

ポジティヴさを持った力強い展開を聴かせる走曲だ。

9曲目のスロー曲は安らぐ様な穏やかさの様でありつつも、

本質は誰も居なくなってしまった様な孤独感であろうの曲調で進行。

サビでバンドサウンドが加わり、悲しく寂しげエモーショナル

盛り上がりを聴かせるのパートへと展開する。

この曲の哀愁感胸に迫るモノが有って良いな。

中東風の雰囲気を持った10曲目は儀式でも行なってそうな感じの曲だな。

11曲目は逆風が吹き荒ぶ様な疾走感が過酷な道程を演出し、

Vo.メランコリックに歌い上げるドラマティックな疾走曲だ。

密談でも行なってそうな怪しい雰囲気を演出するGt.で始まる

ラストの12曲目は、バンドサウンドが加わると逆境を思わせるヘヴィ

サウンドで進行する。途中で濃い霧に包まれた様な静寂パートに展開し、

再び逆境パートに戻った後に聴かせるギターソロがなかなか良い。

まあ、もう少し長い方が良かったと思うが。曲の最後は再び静寂パートに戻り

ピアノが登場。叙情的に聴かせてくれるのは良いんだけど

短いのが勿体無いというか残念だな。

ほとんどがミドル、スロー曲なので疾走曲好きにはウケ辛いかもしれない。

しかし、楽曲の質は高いので個人的にはダレる事無く聴けた。

ミドル、スローテンポの曲が大半でダレる事が無いというのは

実力の有る証である。

ゴシック愛聴家なら迷わず購入する事をオススメするぞ。

評価 82点

3,4,5,8,9,11がオススメだ

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