中 孝介
(日本)
「なつかしゃのシマ」(06年作)
1.家路 2.波の果てに 3.手紙(Mr.Childrenのカヴァー)
4.記憶 -Last Forever- feat.韓雪 5.ホノホシの風 6.なつかしゃ
奄美大島出身の男性歌手の1stミニ。
09年12月24日のDiaryで記した、5枚購入した内の1枚である。
ネットで調べた所、その独特な声と歌唱法から
「地上で最も優しい歌声」と称されるヴォーカリスト/表現者である。
高校生の頃から独学で奄美大島伝統の民謡であるシマ唄を始め、
00年の奄美民謡大賞で新人賞を。同年の日本民謡協会の奄美連合大会では
総合優勝を獲得。インディーズでの活動で数枚の音源をリリースした後、
06年にメジャーデビューを果たしている。
彼の歌う奄美大島のシマ唄は、近年になって島唄と呼ばれる様になった
琉球民謡とは音階、唱法、三線の奏法等、全く異なるモノである。
シマ唄の本質を学ぶ事により、故郷の奄美大島の文化や風土に対し、
更なる誇りと愛着の気持ちを抱く様になり、現在(12年3月)も奄美大島に
在住しながらシマ唄の唄者としての活動を続けている。
楽曲の音楽性は、民謡要素の入った歌謡曲という捉え方で良いと思う。
10代のヤングにウケるモノではなく、30〜50代辺りの中高年が
メインのターゲットだろう。
1曲目は静けさと冷たい空気を演出するピアノに始まり、歌メロへ。
ブリッジからリズム隊やストリングスが加わりドラマティックに展開。
寂しげな様で温かみも感じさせる哀愁の盛り上がりを展開するサビは
懐かしい人との再会を想わせる。
2曲目はピアノとアコギの静かな流れにノスタルジックな哀愁を放つ
笛系楽器が時おり絡む。途中からリズム隊やストリングスが加わり、
情感込めて歌い上げられる哀愁のサビへと到る。
3曲目は「Mr.Children」のカヴァーだが、原曲は未聴なので比較は不可。
優しくも叙情的なアコギのメロディーに乗せて歌い上げられる。
原曲を未聴なせいか、カヴァーという感じが全然しない。
4曲目は中国人女性シンガーの韓雪との中国語と日本語が交じり合う
デュエット曲。曲自体は悪くないけど、何か売れ線っぽい感じがするな。
あと、言葉は統一した方が良いと思う。
波の音のSEで始まる5曲目は黄昏を感じさせるアコギのメロディーに
乗せて歌い上げられる哀愁のスロー曲。
再び波の音のSEが顔を出すラストの6曲目は過去を懐かしむ様な
ピアノの哀愁メロに乗せて歌い上げられるスロー曲。
1曲1曲の質は高いし、優しく朴訥とした歌声に癒しを感じるリスナーは
多いだろう。この手の音楽性を好むリスナーにオススメする価値は十分だ。
しかし、個人的にはバラード寄りの曲ばかりではなく、
もっと多様な構成であって欲しかった。曲調に大差は無いので
聴いてて途中でダレを感じたぞ。
評価 79点
1,6がオススメだ。